ヒーローガイド

 

 

◆及川徹 『ハイキュー‼』

『ハイキュー!!』は男子高校生のバレーボール漫画です。主人公のライバルチーム主将として登場する中ボス的ポジションの及川さん。県内トップクラスのセッターである彼は、その優れた容姿からも注目されますが所謂「残念なイケメン」です(笑)

 ですが、その飄々とした笑顔の裏では想像もつかない努力をしています。天才的な後輩セッターの入部、ライバルに勝てない焦り……それでも彼は練習を重ねることで自分の可能性を見出します。彼は天才に対して嫌悪感を持っていますが、私は彼が「努力の天才」だと思っています。部活動に情熱を注いだ人なら誰しも、挫けることはあります。ですが、及川は挫けてもチームを信じ、自分を信じ、下を見たとしても足を止めることはしません。主将としてチームを引っ張り続けます。颯爽と現れるような格好いいヒーローではないかもしれません。ですが泥臭くても仲間と自分を信じ、努力し続ける姿はどんなヒーローよりも輝いています!             

(涼風)

 

 

◆スーパーマン(クラーク・ケント)『スーパーマン』他

 藤子・F・不二雄先生の短編に、万能の力を持つ事になった男の話が有り、その作中では男はその巨大な力を独善的な正義でもってふるいます。しかしそうならないのが元祖ヒーローのスーパーマンです。自分の行動が、常に人々を救う為になるかを問いながら行動する男で、時に他人や仲間の意見を聞き、喧嘩をし、悩みながらも行動するヒーロー。一方で、スーパーマンとして助ける事が困難なところは、新聞記者クラーク・ケントとして報道を通じて、社会に働きかけて行きます。例え超人でなくても、人々を助ようと働きかける。スーパーマンでなくとも、クラーク・ケントはヒーローなのです。またスーパーマンは自分(あるいは仲間である他のヒーローたち)のみが、地球や人々を救う存在であるとは思っておらず、彼は警察や救助隊員、他者を助けようとする人、あるいはすべての人がヒーローであると考えています。他者から甘いと評される部分であるが、スーパーマンは人の善性を信じているお人よしでもあります。私はそういった要素も強さの一つであると考えます。そんな善性とスーパーパワーを携えた彼が、助けを求める人々の前に現れれば、恐怖や悲嘆に暮れていた所に、たちまち希望が差し込むのです。スーパーマンの姿を見た人達に、困難に立ち向かう活力を与えるのです。その様な部分が、スーパーマンが世界最高のヒーローたる要素の一つではないかと私は思います。

 昨今のスーパーマンの傾向として、宇宙人でありながら人間として社会に居る上での苦悩や、世間からの評価であるとか、悩むヒーローとしての側面も強くなっています。加えて、チームアップでのパワーバランスを考慮してか、クリプトナイトがやたらと発見されたり、弱点が追加されたりと力がセーブされる事も多くなりました。そんな弱さを持った人間味のあるスーパーマンも魅力的ではあるが、五〇年代ごろの初期作品で活躍するスーパーマンも、牧歌的であり古いだけでない面白さがあります。悪人が出てスーパーマンが倒すといった筋書の、日本で主流と思われるアメコミのイメージらしい話と画風が冒頭の藤子先生の作品で元になったスーパーマン像も、当然初期の方を元にしているので、そういった元ネタを知る意味でも初期スーパーマンは面白いです。一方で現実の社会にもスーパーマンは影響を与えています。有名なのは戦中のプロパガンダですが、それ以外にもアメリカで社会問題となっていたKKKの衰退を促すなど、実社会に対する影響力も持っています。スーパーマンが、アメリカ的な典型的ヒーロー像としてのイメージ、またそれを意識した皮肉や反面教師も含めて、世界中に与えた影響は計り知れません。漫画初のヒーローであるスーパーマン、クラーク・ケントは、コミックを越えて活躍するナンバーワンヒーローなのです。           

(鳥谷)

 

 

◆フーム 『星のカービィ』アニメ版

 シリーズのアニメにのみ存在するヒロイン。とは言ってもカービィに守られる役どころでは無く、本作において言語が曖昧で行動も突飛なカービィの保護者役として活躍しています。また彼女は、週ごとに起こる事件や騒動においても、客観的な意見を述べ、物事の解決に積極的に乗り出していきます。戦闘はほぼできないにもかかわらず、作中での活躍はかなり大きい。とぼけた所のある住人達に対して、演説をぶち挙げる様子は年頃の少女とは思えない格好よさです。              

(鳥谷)

 

 

◆初代ロビン(ナイトウィング)『バットマン』他

 バットマンの相棒で凄いイケメン。全員合わせて六、七人程のロビンがいる。その中で恐らくアニメなどのコミック外の媒体で、出演が最も多いと思われる人です。同世代でチームアップした際には、だいたいリーダーや纏め役を行い、歴代のロビンが揃った時にも兄役として仲間を見ています。彼の武器はバットマンから受け継いだ技術や知識だけでなく、そのフレンドリーさもあります。        

(鳥谷)

 

 

◆ダークマン 『ダークマン』


個人的にリメイクしてほしくない映画。タイトルもそのまま『ダークマン』です。これもヒーローらしくないヒーロー、になるのでしょうか……顔を自在に変えられる特技があるのですが、特殊能力ではなく医療目的で作った人工皮膚。それを使わなければ恋人にすら会えなくなってしまった彼が復讐のために戦う、というのが大筋です。デッドプールに似てる、と思った方、是非映画を見てください。全然違います。


(暁壊)

 

 

◆サム 『ナイス・レディ』
 

ジェン・サックスの小説『ナイス・レディ』より。優しすぎて殺人犯になってしまった美女・グレースに一目惚れしたプロの殺し屋・サム。どちらかと言えば王子様的な存在ですが、女性にとって理想の男性というのはヒーローのようなもの。サムは紳士的で強くて優しくて、グレースの個性を認め、グレースを尊敬し、グレースを守り、グレースのために尽くす。やっていることはストーカーに近かったりするのですが、サムなら許せます。        

(暁壊)

 

 



◆マット・スカダー 『アル中探偵』シリーズ
 

ローレンス・ブロックの『アル中探偵』シリーズより。元刑事のスカダーはアル中で無免許の探偵。ホテルで暮らし、捜査も単独、過去に縛られながらバーボンを煽るような、あまりヒーローらしくない探偵ですが、捜査には誠実で、現に弱い立場の人を救っています。第四作目『暗闇にひと突き』で、犯人に自首を勧める場面は、辛い経験をしたからこその説得力がありました。悪人を救えるのが本物のヒーローなのかもしれません。         

(暁壊)

 

 



◆第一の書 『外道の書』
 

井田辰彦『外道の書』より。結構グロテスクな漫画ですが、ヒロインのさつきを助ける『第一の書』が本当にかっこいい。台詞もそこまで多くないし、漫画自体短いのに、何でこんなにかっこいいのか……呪術で滅茶苦茶な体にされてるし顔もえぐいことになってるのに、凄いイケメンに見えるのです。やはり自己犠牲というのは魅力的に映るのでしょうか。さつきも後半は第一の書優先で、最初助けようとしていた兄の存在がどうでもよくなっていますが、気持ちは良くわかります。        

(暁壊)

 

 

◆速杉ハヤト『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』 

「親子関係の良好なエヴァ」と一部盛り上がったシンカリオン。科学や歴史、社会といった要素が随所に盛り込まれているホビーアニメです。新幹線ロボを操縦して謎の巨大物体と戦う速杉ハヤトは、四話目にして自分が戦う理由を「街にいる沢山の人の夢を守るため」と語ります。どうしたらこんなに純真な子供に育つのか不思議でなりませんが、シンカリオンはハヤトくんだけが特別なヒーローというわけではありません。彼を支える両親、ともに戦う友人、謎の巨大物体に対抗するために作られた組織『超進化研究所』の司令官、スタッフ、整備士……。大人も子供も女も男も関係なく、人類の培ってきた「知恵」を駆使して謎の巨大物体に立ち向かい、共に成長していく。誰か一人が特別な力をもっているわけではなく、それぞれの得意分野を生かして協力して戦います。みんなが一人のヒーローで、みんなでひとつのヒーローという訳です。燃える!       

(山中電波)

 

 

◆超神ネイガー

 秋田県発の地産地消ヒーロー。日本海沿岸に伝わる来訪神「ナモミハギ」(有名なのはなまはげ)をモチーフにしたスーツを着ている。地元秋田を中心に積極的に活動している他ツイッターでもまめに情報を発信しており、スーツのままトラクターを乗り回したり交通指導を行ったり自動販売機の中の人になったりとにかく忙しそう。雪かきの注意喚起をしたり方言の素朴な疑問に答えたり、大喜利に参加したりもして我々市民との距離感も絶妙で、ネイガーさんが真面目にお仕事やってるとなんだか元気になります。沖縄の琉神マブヤーとはお友達らしい。へばな。   

(横井)

 

◆離島戦隊サドガシマン 

新潟県は佐渡市のご当地ヒーロー。シマナガシーブルー、トキレッド、ザクザクゴールドの3名がメンバー。「佐渡の自然を守るため、そしてなにより全国に佐渡を自慢するため」をモットーに活動しているがなんとブルーは前科持ちであるし、ゴールドは基本ステータスが低くて幸運金運全振りだし、絶滅危惧種のトキをレッドに据えるといったなかなかブラックな笑いのセンスを感じずにはいられない。それでいいのかご当地ヒーロー。現在は佐渡のマスコットキャラクターに収まっている模様。ちなみにサドガシマンという名称は「佐渡が自慢」と掛かっている(菓子パッケージより)このユルさがいい……とごく一部でニッチな人気があるとかないとか。            

(横井)

 

 

◆『スーパー戦隊シリーズ』

 1975年の『秘密戦隊ゴレンジャー』から始まり2018年現在放送中の快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』に至るシリーズ。基本の戦隊の構成人数は5人、時には3人だったり9人だったり。15話くらいから追加戦士が登場する。怪人を倒す→謎の巨大化→巨大ロボで倒すがパターン。

 

【秘密戦隊ゴレンジャー】

 5人そろってゴレンジャー。秘密戦隊ゴレンジャーと世界征服を目論む秘密結社「黒十字軍」との戦いを描く。必殺技は「ゴレンジャーストーム・ニューパワー作戦」「ゴレンジャーハリケーン」。今現在に至るまでの戦隊の原点であり、ピンクは女子・イエローはカレー好きなどの設定はここから。(しかし実は大人の事情で途中までは東映の非公式の戦隊という扱いだった)ゴレンジャーハリケーンでの怪人の倒し方が理不尽だったり、イエローが途中で九州に栄転→二代目に交代→二代目死亡退場するなど、むちゃくちゃな展開が多いが本人達的には大真面目。ちなみに84話まである。

 

【太陽戦隊サンバルカン】

 1たす2たすサンバルカン。日本の地熱エネルギーを狙う北極の『機械帝国ブラックマグマ』と地球平和守備隊の精鋭から選び出された3人の戦士『太陽戦士サンバルカン』との戦いを描く。バルカンブレスで変身する。レッドにあたるバルイーグルが何故か途中でNASAから招集がかかり2代目に交代。憎しみを胸に戦うバルシャークがかっこいい。イエローポジションのバルパンサーはまたしてもカレー好き。6話でのシュールな聞き込み調査、「どうも奥さん、太陽戦士です」は名言。敵に最後のトドメを指すのがまさかの長官という超展開が最高。

 

【鳥人戦隊ジェットマン】

 戦うトレンディドラマ。世はまさに大トレンディ時代、ということで戦隊もトレンディ化。199X年、世界規模の防衛組織である「地球防衛軍スカイフォース」は「バドニックウェーブ」という未知の力で超人戦士を生み出す計画を実施。そこで選ばれた若者達が次元を超えて侵略してきた「次元戦団バイラム」と地球の平和の為に戦う物語。展開の面白さやかっこよさはもちろんなのだが、裏テーマは「戦隊の革新」ということもあり、大人の事情で戦隊同士で交差する恋愛感情の方が気になる仕様にすることでターゲットの年齢層を高めに設定した。今なお語り継がれる伝説の最終回は賛否両論あり。個人的にはハッピーエンド。

 

【激走戦隊カーレンジャー】

 戦う交通安全。地球の平和を守る為という理由で宇宙暴走族ボーゾックと戦う事に巻き込まれた自動車会社に勤めるテストドライバーのレッドとその同僚の若者たちの奮闘をコメディタッチに描いた物語。給料税込み19万3千円で働きながら無償で怪人と戦うことを拒否するレッドの姿が見られるのはカーレンジャーだけ。怪人達は芋羊羹で巨大化、5対1で戦うことを卑怯だとマジレスする怪人に対する回答が「俺達は1の力を5分割してるだけ」とのたまうヒーローなど、むちゃくちゃな世界観が幼年男子達を置き去りにした結果、戦隊シリーズ最低視聴率をたたき出した。

 

【未来戦隊タイムレンジャー】

『西暦3000年の未来人達と1人の男が出会った…新しい時を刻むために!』(OPナレーション)OP曲の難しさに定評のある20世紀最後ミレニアム戦隊。未来から逃亡した凶悪マフィアと刑務所の囚人逮捕の為に2000年の日本にワープした時間保護局の4人とノリで加入した現代人(レッド)が戦う。イエロー以外の未来人それぞれ忌まわしい過去や明日を持っており、その中でピンクがリーダー。紆余曲折の末レッドとピンクは互いに想い会うが、別の時間を生きる者の運命には抗えなかった。その切なさを歌う「あいたいよ」は名曲。

 

【忍風戦隊ハリケンジャー】

 シュシュっと参上! 忍者集団・疾風流は迅雷流との対抗戦を控えたある朝、宇宙忍群ジャカンジャ襲撃を受け学生も校舎も消されてしまう。館長は命からがらハムスターに変身して脱出。朝礼をサボっていたため無事だった落ちこぼれ3人に強化スーツを与えハリケンジャーとして戦うことを命じる。なお館長は呪文を間違えたためハムスターから戻れず。ハリケンジャー以外に別の目的で動く戦隊が登場、互いに敵対しながらも後に共闘する展開や、正体不明のシュリケンジャーというルー語を操る忍者も登場。また歌舞伎のような名乗り口上や登場の演出が子供達に大ウケした。人気が高く、10周年イベントや今でも他作品に度々登場する。

 

【特捜戦隊デカレンジャー】

 SPECIAL POLICE DEKARANGER! 

地球に侵入した宇宙犯罪者達と戦い、人々の平和と安全を守る、燃えるハートでクールに戦う刑事達の物語。以外にも戦隊初の警察モチーフ作品であり、戦隊全員が宇宙人(SF作品に贈られる賞を受賞している)。イチオシは地獄の番犬ことデカマスター(ボス)ドギークルーガー。犬ではない。彼らは警察なので、あくまで「逮捕」が目的。確保した後は警察手帳をジャッジモードに変形させ、宇宙犯罪者・アリエナイザーの名前と罪状を読み上げる。そして、「宇宙最高裁判所」なる組織に起訴、即決を求める。訴状を受け取った最高裁はその場で裁判を開廷し、速やかに判決を下す。ジャッジメント・タイムはわずか1分 。

 

【侍戦隊シンケンジャー】

 天下御免の侍戦隊! 何百年も昔から〝隙間〟を通ってやって来る「外道衆」という異形の者達を退治し、今現在に至るまで世の中の平和を守り続ける侍達がいる、という物語。特徴は何といっても先祖代々語り継がれてきた由緒正しい家系の、殿様と4人の家臣(後に寿司屋も加わる)達というメンバー構成であること。ショドウフォンという変身アイテムで不思議な文字の力「モヂカラ」を使って戦うのだが、文字の書き順を間違えると変身出来ない。殿(レッド)に仕える家臣達という設定なので、バイクで移動する御付きのじいやがいたり、黒子が出陣の準備をするという場面がある。また、殿には影武者がいるものだが、それがこの物語で大きな役割を果たすことになる。

 

【海賊戦隊ゴーカイジャー】

 ド派手に行くぜ! スーパー戦隊35周年記念作品。宇宙帝国ザンギャックから地球を守るため、ゴレンジャーを筆頭とした34のスーパー戦隊は全ての力を集結。束の間の平和と引き換えに戦士たちは全ての力を失う。その〝レジェンド大戦〟から数年後、海賊の汚名を誇りとして掲げる豪快な宇宙海賊達が宇宙最大のお宝を求め地球に降り立つ。最初彼らには「地球を守る」つもりも義理も全く無かったのだが、宝を求めてレジェンド達(先輩ヒーロー達)と出会ううちに、「この星の価値」を見出し、35番目のヒーローに目覚めていく。エモい。今なお高い人気を誇るこの作品の見どころは、「先輩ヒーロー達の力」を使って変身する(ゴーカイジャー→ゴレンジャー、ゴーカイジャー→全員レッド)ことと、各回ごとにヒーロー本人達が登場する豪華仕様。これはスタッフも予想外のことで、ギンガマンのレッドが全レッド達の連絡先を知っていたお蔭で実現した。

 

【特命戦隊ゴーバスターズ】

 Busters, Ready…GO! 新西暦1999年「転送研究センター」でスーパーコンピュータ発生した意志を持つバグが人類に牙を向いた。研究所ごとバグを異空間に追放することで危機は一旦回避されたが、迫り来る恐怖から人類を守るため、事件から奇跡的に生還した3人の若者に特命を課す。彼らはワクチンプログラムをインストールされており、超人的な力を身に着けた(そのお蔭で助かった)一方でコンピュータのようなウィークポイントがあり、そこを狙われることもしばしば。それらをカバーするために、それぞれバディロイドという相棒がいる。両親を失った悲しみや普通の人間でないという疎外感などと戦い、後に加わる仲間との出会いや別れを乗り越え明日に向かっていくストーリーはかなり王道。

 

【烈車戦隊トッキュウジャー】

 7時30分発、烈車戦隊トッキュウジャーが発車いたします! お乗り遅れのないようご注意ください!(OPナレーションより)

イマジネーションを持つ者にしか見えない虹色の路線、レインボーラインを走る鋼鉄の巨大鉄道:烈車。彼らは世界を闇に飲み込もうと目論むシャドーラインと激しい戦いを繰り広げていた。そこに記憶を無くした5人の幼馴染達が現れ「トッキュウジャー」と呼ばれる戦士の力を手に入れる。徹頭徹尾電車モチーフを貫いており、変身の際白線が現れたり(律儀に下がる怪人達)、乗り換え変身(色交換)や連結して戦ったりする。また彼らの最大の武器はイマジネーションであり、バズーカにイマジネーションを込めた結果かなり強い守衛さんを召喚し、怪人をタコ殴りにして倒したりする。余談だが、烈車が止まる駅によく相鉄線が使われており、緑園都市も別の駅名で一瞬だけ登場している。

 

【宇宙戦隊キュウレンジャー】

 1人1人がスーパースター! 9人揃ってオールスター! はるか未来の宇宙を形成する88の星座系は宇宙幕府ジャークマターの手に堕ちていた。しかし、「宇宙が心なきものの手に堕ち、人々が涙する時、9人の究極の救世主が現れ宇宙を救う」という伝説が伝えられおり、その伝説に従い救世主達がリベリオンという組織によって集められ、宇宙の解放の為に立ち上がる。史上初めての初期戦士9名の大所帯が大きな話題を呼んだ。その他にも、地球(もしくは日本)を舞台では無く宇宙全体を飛び回っていることや一人のキャラクターのスピンオフ作品が作られたことも注目を集めた。レッドのラッキーの口癖「よっしゃラッキー!」は宇宙飛行士毛利衛氏の「宇宙飛行士は幸運でポジティブだ」という言葉から。そこから、最後まで正義を持って、幸運を信じて戦い続けるということをテーマに描いている。

 

【快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー】

 正義のアウトロー【快盗】VS絶対のヒーロー【警察】それぞれの〝正義〟がぶつかる! 異世界から現れた犯罪者集団ギャングラーによって、アルセーヌルパンの秘宝「ルパンコレクション」が盗み出されてしまう。ルパン一族に使える謎の執事・コグレと〝失った人を取り戻す〟という約束を交わしたルパンレンジャー達はルパンコレクションの一つ、VSチェンジャーを使って怪盗戦隊ルパンレンジャーとしてコレクションを取り戻し続ける。そこに現れるのが国際特別警察。彼らもまたVSチェンジャーを使って変身、警察戦隊パトレンジャーとして怪盗とギャングラーの逮捕の為、そして何より世界の平和の為に戦う。戦隊シリーズ初のVSシリーズ。モチーフは義賊と警察。見どころは何といっても、二つの異なる戦隊が互いに敵対する点。異なるアクションスタイル、異なる関係性、異なる二人のレッド。主題歌もルパン側の歌とパトレン側の歌のそれぞれがあり、二つを組み合わせるとOP主題歌になるという、まさに二つで一つのスーパー戦隊。まだ始まったばかりなので、是非一度見てみてほしい。

(花森)

 

 

◆『平成ライダーシリーズ』

 平成ライダーとはクウガ以降の仮面ライダーシリーズの総称。特徴としては「主人公が改造人間ではない」「2話で1エピソードの構成」「1作品ごとに独立した世界観」など。「ディケイド以前」と「W以降」で区切られている認識があり、この区切りがファンの間で「平成1期」「平成2期」と呼ばれている。2期の特徴としては、主に作風が全体的に明るく(シリアスで重苦しい雰囲気の1期とは対照的にコメディ要素が多く含まれる)、収集要素のあるアイテムの存在、それによるベルトや武器の機能の充実化、頭数が少ない代わりにフォームチェンジが多彩。また1期は1月始まりだったが、Wじからは9月始まりに変更。

 

【仮面ライダークウガ】

 A New Hero. A New Legend. 伝説はここから始まった。超古代邪悪な力で異形の怪人に変身する戦闘集団「グロンギ」によって滅亡の危機に瀕していた古代民族「リント」(いわゆる現代日本人の祖先)は人間を超変身させるベルトを創り出し戦士クウガを誕生させ、グロンギを撃退・封印。そして西暦2000年。日本アルプスの九郎ヶ岳遺跡内に置かれた棺が暴かれた事から、封印されていたグロンギが復活。主人公・五代雄介は遺跡から別に発掘されていた謎のベルトからイメージを察知、戦士クウガに変身。人々の笑顔を守る為に立ち上がる。特撮ヒーローのお約束とも言える要素に納得のいく理由を付け、ご都合主義を極力排除しているのがこの作品の特徴。例えば怪人を倒す為に警察と連携し「戦うと周囲に迷惑がかかる」ので戦える場所まで警察が誘導、その際ワープはせずに警察が提供した最新型マシンに乗って移動。敵を倒す時も必殺技を叫ばず、武器は周囲にある物を古代の力で変形させて生み出す。何故キックで敵が倒れるのかにも理由付けをする、など。敵も日本語は喋らない(グロンギ語)、むやみやたらに世界征服とは言わない(ゲゲルという人殺しゲームをする)。しかしその中にも仮面ライダーに対する敬意と伝統は引き継いでおり、第一話の怪人が蜘蛛モチーフなのは初代仮面ライダー1号から、また主人公の五代雄介も弱音を吐かず、自らに与えられた役割と使命を理解して行動する典型的なヒーロータイプで、「笑顔を守る為に戦う」と他人の為に自己犠牲を厭わない。「完璧超人過ぎて真似できないが憧れる人物」として今も多くの視聴者から愛されている。

 

【仮面ライダー龍騎】

 戦わなければ生き残れない。街では人々が相次いで失踪するという事件が起きており、「OREジャーナル」の見習い記者「城戸真司」は取材中ある失踪者の部屋を調べていた所謎のカードデッキを手にする。これが切っ掛けで、真司は鏡の中の世界「ミラーワールド」に吸い込まれ秋山蓮と神崎優衣に出会う。真司はミラーワールドから密かに人々を襲う「ミラーモンスター」、そしてミラーモンスターと戦う「仮面ライダー」の存在を知る。龍型モンスター「ドラグレッダー」と契約し「仮面ライダー龍騎」に変身し、人々をミラーモンスターから守る事を決意する。しかし秋山蓮は龍騎を潰さんと戦いを挑み、また彼ら以外にも続々と「仮面ライダー」が現れる。最後の一人になるまで互いに戦いあう……それが仮面ライダーの掟なのだった。今作の大きな特徴の一つがモンスターやライダーとの戦いは鏡の中の世界、「ミラーワールド」で展開されるということ(看板等の文字が反転するという演出がなされる事で鏡の中の世界である事が表現されている)、そしてバトロワ展開であること。それまで「正義の味方」だった仮面ライダーは「願いの為に戦い、殺しあう者」という概念に変わった。また変身ベルトに電子音がギミックされたのは龍騎から。

 

【仮面ライダー555】

 疾走する本能。美容師を目指す少女園田真理は旅先で乾巧という青年と出会い、オルフェノクという怪人に襲われる。真理は果敢にもファイズギアを装着するがベルトに拒絶され、変身は失敗。だが巧にファイズギアを装着させ、彼を仮面ライダーファイズに変身させることによってオルフェノクを撃退することに成功した。同じ頃交通事故によって植物人間状態となっていた木場勇治が死の床から蘇る。昏睡状態にあった彼の周囲の環境は激変しており唯一の心の拠り所とした恋人をも奪われた彼は悲嘆と激昂によってホースオルフェノクとして覚醒する。この二人の青年はライダーベルトとオルフェノクを巡る熾烈な戦いに巻き込まれていく。本作では、今までの仮面ライダーではあまりスポットの当てられなかった敵側の怪人についてのストーリーも多く取り上げられている。特にレギュラーにあたる木場など「ある日突然オルフェノク(怪人)になってしまった」人々の「人として生きる」か「怪人として組織の中で生きるか」で苦悩する話は物語後半まで続いている。およそ子供向けとは言えないドロドロとした人間関係や裏切り、すれ違いなどの昼ドラ的展開は賛否両論。特に仮面ライダーカイザ・草加雅人は皆のトラウマ主犯格。しかしライダー同士の連携や必殺技のエフェクトなどアクションや変身アイテムは評価が高く、特に555フォン(ガラパゴス携帯)などは子供に大人気。

 

【仮面ライダー電王】

 俺、参上! 奇跡的な運の悪さを持つ野上良太郎はある日時間旅行する列車デンライナーの乗車券、ライダーパスを拾う。時同じくして歴史を改変を企む怪物イマジンにとりつかれてしまう。さらには自分に取り付いたイマジンとは別のイマジンが起こした騒動にも巻き込まれてしまう。しかし良太郎は特異点という素質を持っており自分に取り付いたイマジンを制御したり仮面ライダー電王に変身する事が可能だった。良太郎は時間イマジン達と戦っていく。今までのシリアス路線とは打って変わったコメディ路線と個性的なキャラクター(に声を当てる声優さん)が人気を呼び、平成ライダートップの人気を獲得。ガワ(アクション担当)人気も高まった。その明るい作風の根底は薄暗く重たいものがあり、「変身する度に自分に関する記憶が世界から失われていくライダー」の存在や戻らない過去とイマジンに捕われた人々の姿で 〝時は戻らないが記憶があれば消えないが、中には忘れられ、零れ落ちてしまうものもある。しかしそれはただ消えていくだけ。世界から〟という時の流れの儚さ残酷さを描いている。

 

【仮面ライダーW】

 さあ、お前の罪を数えろ。平成仮面ライダー10周年記念企画〝秋の陣〟にして、本シリーズ〝第二期〟の1作目。風の街・風都はエコの街。風が街を愛し、街も、街の人もまた風を愛してる。そんな平和な街ではUSBメモリのような形をした「ガイアメモリ」を使った犯罪が横行していた。この街を泣かせる者は許さない―私立探偵の左翔太郎と、〝地球の記憶〟を持つ謎の天才少年フィリップが二人で一人の仮面ライダーとして風都を守る。仮面ライダーシリーズ初二人の人間が一人の仮面ライダーとなる。この設定は作品の世界観を構成する上でも重要な要素である。デザインは左右色が違うという異色のフォームでベルトにメモリを差し込み変身。左右でメモリは三つずつあり、それぞれを時と場合によって組み合わせを変えることでフォームチェンジ。基本的に翔太郎の肉体にフィリップの精神が移る(肉体はそのまま地面や床に転がっている)。翔太郎、フィリップ、そして所長の鳴海亜希子達の元に舞い込む以来から物語が始まる、二話一部構成。二人一組は相棒から、ハードボイルドに憧れる私立探偵・翔太郎は探偵物語から、フィリップという名前はレイモンドチャンドラーの作品から。シリアスとコメディがバランスよくミックスされたストーリーの他ガジェットメカなど、低年齢層が興味を引くような要素が多数盛り込まれており、謎解き方式のわかりやすい物語展開も子供たちにうけた。その一方で主人公を含む「風都の街に住まう人々」やガイアメモリを手にした者達の罪をきちんと暴き、償わせるという大人にも響くストーリーや台詞があり、今でも多くの人々に愛されている。去年からテレビドラマのその後を描いた漫画連載が始まっている。

 

【仮面ライダーOOO】

 その欲望、解放しろ。800年の永い眠りから目覚めた怪人グリード。 彼らの目的はただ一つ、人々の欲望から生み出されるオーメダル10枚を集め、己の身体を完全にすること。 

グリードによって生み出されたヤミーが欲望のままに人間を襲うその時、無欲な青年・火野映司が右腕のみの姿で復活したグリード・アンクと手を組み仮面ライダーOOO(オーズ)へと変身。そしてオーメダルやグリードの秘密を知る謎の組織・鴻上ファウンデーションの協力の元、戦いに挑む映司。メダルを巡る壮大な欲望の渦に飲み込まれた彼の運命は、何処へ向かっていくのか。W同様のコミカルテイストを持ちつつ、後半に向かうにつれ胃もたれするようなシリアス展開や誰も予想しなかったトラウマ場面が度々登場する。前作のWの系譜を受け継ぎ、今度は三つのメダルを使ってフォームチェンジ。頭、胸、脚の三つの部分が変化する。基本スタイルはタカ・トラ・バッタのタトバコンボ。何らかの理由で右腕しか復活出来なかったアンクと無欲な映司はそれぞれ「不完全な怪人」、「所詮自分は何も守れない救えない」という絶望を抱いておりその〝渇望〟で結ばれた奇妙な絆と信頼が最高にエモい。空っぽだったその身に、OOOを通して流れ込む感情や欲望が「怪人を人間に近づけ」、「一人の人間を怪人へと変え」歪な形で二人を満たしていく。その結末がハッピーエンドなのか、それとも……。是非自分の目で確かめてほしい。

 

【仮面ライダーエグゼイド】

 ゲームスタート! ノーコンティニューで運命を変えろ! 未知のウイルス、バグスターが人知れずまん延する社会。政府は聖都大学附属病院に極秘部署・電脳究明センター(CR)を設置、 人類滅亡の危機を回避するための対策を密かに進めていた。ゲームウイルスであるバグスターを倒すのはデジタルゲームの世界。ゲーム企業と共同で開発したゲーマドライバーとガシャットで適合者に選ばれた、手術を行った医師=ドクターは仮面ライダーに変身する。偶然バグスターの姿を目にした若き研修医・宝生永夢はゲームの世界では有名な天才ゲーマー。医者として患者を想う気持ちとゲーマーとしての血が騒ぎ、彼は仮面ライダーに変身し(何故彼が変身できたのか……は自分の目と耳で確認してほしい)、ガシャットと命を巡る戦いに身を投じる。それぞれ「マイティアクションX」や「バンバンシューティング」というゲームカセットを元にしたアイテムで変身する。レベル1の姿は仮面ライダーとは言えないような愛らしい姿。コミカルな作風の中に人の命の重み、儚く散っていく人々の姿、そして残された者の苦しみなどを描き、医療の世界が抱える問題なども物語に組み込んでいる。「人の命は一つだけ、ゲームのように何度もリセットできない」という教訓をクリスマスに放送する鬼展開もあり。

 

【仮面ライダービルド】

 さあ、実験を始めようか。火星から持ち帰ったパンドラボックスから放たれた光によって地面が割れ、スカイウォールという巨大な壁が出現。日本列島は三つに分断された。首都も北都、西都、そして東都に分かれた。パンドラボックスの謎の解明を進める東都では未確認生命体スマッシュと、その怪人と戦う仮面ライダービルドの姿が多くの人に目撃されていた。そんな中、一人の青年・万丈龍我は自称天才物理学者の桐生戦兎と出会う無実を訴える万丈から「ガスマスクの科学者達」の話を聞き、彼の無実の証明に手を貸す。彼は失った自分の記憶と人類の平和を守るため、仮面ライダービルドに変身し戦っていた。彼の微かに残っている記憶は万丈と同じ「ガスマスクの科学者達」…パンドラボックスの謎を解明し、自らの記憶も取り戻すべく、記憶のカギを握る男・万丈龍我との逃亡と闘いの旅が今、幕を開ける。主人公が物理学者ということもあり、「実験」「創造」を題材にしたライダー像が描かれている。フォームであるラビットタンクがウサギ+戦車のようにアイテムの「フルボトル」を用い、動物や機械などあらゆる分野の要素を二つ組み合わせて能力を発揮する。その中でも「ベストマッチ」と呼ばれる組み合わせがあり、必殺技発動の条件にもなる。おやっさんポジションのキャラクターが全ての元凶、三つの首都で戦争が始まる、仮面ライダーが人殺しをするという重苦しい展開が話題。俳優さん達の迫真の演技が余計に苦しい……。

 

その他…

【仮面ライダーアギト】

 クウガの伝統を引き継ぎつつ平成ライダーの基礎を作り上げた。

【仮面ライダー剣】

 オンドゥル語。ウソダドンドコドーン。

【仮面ライダー響鬼】

 ベルトで変身しない、途中まで車で移動。ライダーはシフト制。

【仮面ライダーカブト】

 おばあちゃんが言っていた、カブトはとにかくかっこいい。某庵野監督曰く「君の名は実質カブト」

【仮面ライダーキバ】

 昼ドラ。親父のせいで逃げられた怪人を倒すのを押し付けられたひきこもり息子が頑張る。ヴァンパイアモチーフかっこいい。

【仮面ライダーディケイド】

 おのれディケイド。

【仮面ライダーフォーゼ】

 宇宙キター! 視聴者の大半が福士蒼汰がイケメンだということに途中まで気づかなかった。

【仮面ライダーウィザード】

 シャバドゥビタッチヘンシン。指輪の魔法使いの足技が華麗。

【仮面ライダー鎧武】

 僕と契約して仮面ライダーになってよ!

【仮面ライダードライブ】

 公務員ライダー。車に乗ったままミニカーで変身。タイヤ交換でフォームチェンジ。

【仮面ライダーゴースト】

 第一話で主人公死亡。ある意味FGO。

(花森)

 

 

◆『銀魂』

 空知英秋によるSF人情なんちゃって時代劇コメディー漫画。『週刊少年ジャンプ』にて2004年2号より連載中。江戸時代末期、天人(あまんと)と呼ばれる異星人達の襲来からおよそ20年。志村新八は侍の衰退した江戸では剣術を生かす道もなく、意に沿わないアルバイトで生計をたてていた。そんな時風変わりな侍魂をもった男銀髪の男・坂田銀時が現れ、彼の魂と後姿に惹かれた新八は彼の元で侍魂を学ぶため、銀時の営業する何でも屋・万事屋で働くことになる。万事屋にはやがて宇宙最強の傭兵部族・夜兎族の少女神楽や巨大な犬・定春が転がり込んでくる。そして歌舞伎町の住人を始めとした江戸に生きる人々や治安を守る特別警察真選組や銀時の盟友・桂小太郎を筆頭とする攘夷志士などと出会い、時に別れ、新八は己の侍道と魂を見出していく。(よく銀時が主人公とされるが、実際は新八の成長物語である)。メタネタ、パロディネタが激しく、アニメではよくモザイク規制やDVD化の際ピー音や修正がかかっている。しかし坂田銀時を始めとした登場人物達の持つ強い意志や価値観、そして侍の魂は涙を誘うものが多くある。普段はおちゃらけた姿を見せる彼らが放つ「今も昔も俺の護るものは何一つかわっちゃいねえ!」「惚れた女には幸せになってほしいだけだ」「つまずき転んだのを石のせいにしたところで、何か変わるか」など、ハッと胸を鋭く貫く言葉が銀魂の魅力の一つだ。どれだけ泥にまみれようがどれだけ世界が憎かろうが、それでもただ前を見てがむしゃらに走り続け、恥も抱えて生きて。自分の体を真っ直ぐに貫く魂を持って戦う彼らが見せるだらしない笑顔は、ヒーローと呼ぶには少しかっこよすぎるのかも知れない。 

(花森)